世の中には、成功しているといわれる人でも幸福ではなかったり、一方で成功したとはいえない人が幸福だったりすることがよくあります。成功と幸福の違いを知るには、『働き方の哲学』で紹介されている「定規と器」モデルを知るといいかもって話です。
成功は相対的な「定規」モデル
『働き方の哲学』の著者によると、他人との比較によって判断されるのが「成功」であるとされています。「年収1000万円稼ぐ」「会社の社長に上り詰める」といった、多くの人にとっての憧れってのは存在しますが、万人に当てはまる「成功」というのは存在しないわけですね。
自分が仕事上で獲得したもの、例えば収入とかそれで買ったモノ、あるいは知識や能力、さらには仕事の成果・業績などに定規を当て、他人との比較で評価することを表しています。
まさに「定規」という考え方がぴったり当てはまる定義ですよね。
その結果、自分の相対的な位置が確認できます。自分が優位にいれば喜び、劣位にいればくやしがります。
成功を目指すことが努力するモチベーションになることが多いのは、人間には他人より上の立場になりたいって欲望があるからなのでしょう。
幸福は個性的な「器」モデル
一方で、幸福とは自分の「器」を手作りして、そこに自分の経験から得られたものを入れていく行為だとしています。
幸福は、まず自分の「器(うつわ)」をこしらえることから始まります。器の素材や形状は、自分が自由に決めてよいものです。それは、作り手の個性・美意識・価値観の表れですから。
また、こしらえていくうちに、器の大きさは、しだいに自分の精神的な懐(ふところ) の深さや見ている世界の大きさといったものを反映するようになるでしょう。そして、その器は自分が行う仕事や仕事から得られるもので満たされていきます。
私たちは、誰一人として同じ器を持ってはいません。なので、幸福の形は人それぞれ。小さな器を丁寧に作れば、ちょっとしたことで幸福を感じられる充実した人生になります。
しかし大きな器を雑に作ってしまえば、いくら欲望を満たしても幸福を感じられない人生になってしまうかもしれません。できることなら、小さな器を丁寧に作り、自分だけの彩りや装飾を加えていきたいものですよね。
人と比べることなく自分の「器」をつくろう
「定規と器」モデルから、成功は他との比較相対によって生じるものであり、幸福は自分独自の軸を据えて、それをもとに生み出すものととらえることができるでしょう。
成功を目指す人も、最終的には「幸福になりたい」というモチベーションで行動していると思います。しかし成功と幸福は同じものではなく、幸福は人との比較のなかからは生まれません。
自分だけの器を作り、それを満たしていくことが幸福につながるんだ、と。
この考え方にすごく共感したので、私もこれからは自分だけの「幸福の器」を作ることをイメージしながら生活したいと思ったのでした。