「天職」って言葉には、誰でも魅力を感じることでしょう。自分にとって天職と思えるような、やりがいや楽しさを感じられる仕事に出会えたら、どんなに幸福な人生になるだろうかと考えるのは、私だけではないはず。
しかし最新の研究では、天職は探すものではなく、作るものであることがわかっています。ここでは私たちの仕事を天職へと昇華させる「ジョブクラフティング」の手法の1つを紹介します。
仕事のやりがいはマインドセットがすべて
イェール大学の心理学者、エイミー・ウェズニスキーによると、私たちの仕事に対する姿勢(マインドセット)は、次の3種類に集約されると『幸福優位7つの法則』に書かれています。その3つとは、
- 勤め
- 専門職
- 天から与えられた使命
ウェズニスキーが発見したのはそれだけではないようで、まったく同じ内容の仕事をして、同等の給与をもらっている人の中でも、マインドセットは3種類に分かれてしまうことがわかっています。
コンビニのレジ打ちといった仕事でも、人によって単にお金を稼ぐ手段と考えるか、それともスキルアップの機会と捉えるか、あるいは天職と考えるかが分かれるということですね。
ということは、次のことが言えます。
自分の仕事をどう認識するかが、マインドセットと同じように、仕事の成果に影響するということだ。つまり、仕事をしていて幸福が感じられないという人は、職場をやめたり、職業を変えたり、自分探しの旅に出かけなくても、仕事生活をより満足できるものにすることが可能である。
もし今の仕事に満足しておらず、転職を考えている人は、まずは現在の仕事に対するマインドセットを変えることで、より幸福度や満足度をあげることができるかもよ、って話ですね。
ジョブクラフティングとは
仕事に対する姿勢、マインドセットを変えることを、心理学の世界では「ジョブクラフティング」と呼びます。仕事(ジョブ)を構築(クラフト)するって意味ですね。
ウェズニスキーが言うように、「仕事の意義を考えることによって新しい可能性が開かれる」のであり、それは「人がそれぞれ自分で構築するもの」なのである。
ジョブクラフティングを通じて、「お金を稼ぐために我慢してやっているんだ」っていう仕事の見方を、「この仕事を通じて社会に貢献しているんだ」ってマインドセットに変えることができれば、やりがいや達成感を得やすくなります。
無理に転職したり独立したりしなくとも、現在の仕事で幸福な人生を送り、結果として大きな成果を残すことも難しくなくなるでしょう。幸福度が上がれば、パフォーマンスが2倍になるって例もあることですし。
「天職記述書」を書いてみよう
私は企業にコンサルティングをする際、社員たちに自分の「職務記述書」を書き換えることを勧める。自分の仕事を、ほかの人がぜひやりたいと応募してくるように書き表すとどうなるかを考えてもらうのである。タル・ベンシャハーはこれを「天職記述書」と呼ぶ。別に事実を曲げるわけではなく、その仕事から得られる意義を強調するのが目的である。
ジョブクラフティングの手法として私がやってみたいと思ったのは、この「天職記述書」を書くことです。まずは職務経歴書を書くように自分の仕事内容をまとめて、書いたものをさらに一歩進めて天職記述書とするわけです。
それを読んだ人が「ぜひやってみたい!」「応募したい!」と思えるような原稿に仕上げることで、自分の中にある仕事に対するマインドセットを変えようって試みですね。
こうしたジョブクラフティングを通じて、今の仕事に対する見方をポジティブなものへ変換し、充実した職業人生を送りたいものです。